「スリランカ」は、インドの先端あたりに位置している、涙型をしている小さな島。
自然豊かで、さまざまな気候が体感できるところも魅力です。
今回は、スリランカの最大都市である「コロンボ」の中心から車で40分ほど北上した、コロンボと空港の間に位置しているシーフートの加工工場に行ってきました。
この記事では、スリランカの気候や食文化などの情報と合わせて、シーフード加工工場で行うことや原料→解体→トリミングのテーブル、仕立て(トリミング)の指導、ゲソのマッサージ、さらに、工場での昼食を、「スリランカへの出張日記」にまとめました。
スリランカってどんなところ?(地図や気候風土・食文化など)
スリランカは、日本から見ると南西の位置にある、北海道の8割ほどの面積の小さな島国。
地図で見ると、インドの先端の少し右あたりにある、涙型をしている島です。
スリランカは良質な紅茶の産地であり、1,000mを超える山が連なっている島の中央部の高原地帯には、一面に紅茶畑が広がっています。
緑が濃いジャングルには、野生の象や牛、トカゲ類、孔雀など、さまざまな動物が生息し、ヤシの木が連なっている南国風の光景が見られるところも魅力。
また、海岸近くには、小さな漁村が並ぶ風景も見られます。
海に近いエリアは一年中海水浴が楽しめるほど暖かく、南部中央の高地は涼しくてさわやかで、小さな国ながらも、実にいろいろな気候が体感できるところも魅力の一つです。
自然が豊かなスリランカの食事は、ご飯、野菜、魚、肉などのカレーを食べるのが一般的。
日本のカレーとは全く違う、スパイスと唐辛子、胡椒で食材を煮込む辛いカレーで、ご飯と良く混ぜて指先だけを使って食べるのがルールです。
また、仏教徒は何でも食べますが、ヒンドゥー教徒は牛肉、イスラム教徒は豚肉を食べないのも、スリランカの食文化の特徴です。
シーフードの加工工場へ
まずは、シーフードの加工工場で行うことや、原料から解体、トリミングのテーブルについてまとめました。
工場にて行うこと1~9
シーフード加工工場で行っているのは、以下の9つの工程です。
1、ラインチェック(フィレ、ゲソ、姿)
2、解凍(フィレ2-4 5-7 8-10 2ピースずつ、ゲソ5-7 8-12 2ピースずつ)
3、金属探知確認(テストピース、作動、帳票、異物は保管しているか)
4、規格書管理確認(フィレ、ゲソ、姿)
5、サイズ選別基準の目合わせと確定
6、一括表示確認(水成、他)
7、解凍検品(フィレ、ゲソ 目切れなどないか)
8、今後の水揚げ、サイズ、出来上がりの数量、出荷時期予想
9、買い付けベースと計画確認
工場の前には、コンテナ5台が常に待機し、現時点で40件くらいの出荷を、内販用トラックや冷凍車など2台で対応しています。
原料→解体→トリミング
アオリイカのフィレとゲソについて、原料から実際に得られた数量の割合である「歩留」の違いを、イカ全体のサイズ別に比較しました。
全体量 | フィレ トリミング後の重量・歩留 | ゲソ トリミング後の重量・歩留 |
1,655g | 616g・37% | 441g・27% |
1,580g | 521g・34% | 374g・24% |
930g | 335g・36% | 199g・21% |
730g | 247g・34% | 180g・25% |
470g | 135g・29% | 109g・23% |
最も大型の1,655gのイカの場合、フィレは解体後の重量が627gで、トリミングをすると616g取れたので歩留が37%、ゲソは解体後の重量が447gで、トリミングをすると441g取れたので歩留は27%。
最も小型の470gのイカの場合、フィレのトリミング後の重量は135gで歩留は29%、ゲソのトリミングの重量は109gで歩留は23%でした。
以上の結果から、小型の物のほうが、製品の歩留が低いことがわかりました。
同行していただいたお客様による仕立て(トリミング)
同行していただいたお客様に、アオリイカフィレ・伸ばしエビ・尾つきエビ・新しい伸ばしエビ、の仕立て(トリミング)指導をしていただきました。
それぞれの様子やポイントをご説明します。
アオリイカフィレ
最初に、フィレの下部のトリミングを、ハサミを使って行います。
フィレの内側の浮袋につながる、二箇所のくぼみに残っているクズの除去は、裂けや切れ、穴あきになりやすいため注意が必要。
布を使って、表面に残っている肉のクズや皮などを除去します。
重要なのは、下部に残っている皮を取ることであり、下部をまっすぐにするということではありません。
従業員からの質問に対しても説明し、理解してもらえました。
伸ばしエビ・尾つきエビ
・フラワーエビ8/12尾つき9カット
調理時の曲がりを確実になくすために、腹の真上からナイフを入れて、腹側表面の皮の下にある筋を確実に筋切りするのが課題の、エビの首側の先端から尾に向けて順にナイフを9回入れる仕立て。
尾に近づくにつれてエビが回転してしまうと、適切な筋切りができないため、ナイフを入れる箇所が側面にならないように気を付けることが重要。
最初に、お客様にトリミングをしていただいたムービーを見せて解説しました。
必ず腹の真上をカットすることで、確実な筋切りが完成するため、調理の際の曲がりの激減につながるでしょう。
・ブラックタイガー16/20伸ばし
腹側の筋、腹の表面の内側にある筋を切って6カットにし、尾の付け根にカットを入れる仕立て。
カットの最中は常に腹が真上に向くようにし、作業中に横腹にずれないように気を付けることが重要。
当初は背側を伸ばしていましたが、切れ目と切れての間をしっかりと押し伸ばすのがポイントと説明しました。
新しい伸ばしエビ
伸ばしエビの仕立ては、何も使わずに手作業のみで行うのでは、充分に伸ばすことができません。
しかし、器具を使い、切れ目の手前から伸ばす仕立てを実践したところ、17㎝まで伸ばすことができました。
ゲソのマッサージについて
ゲソのマッサージを行っている状態を見て、お客様から「水の量に対してイカが多すぎるのではないか?」というお声をいただきました。
ゲソのマッサージは、水120kg、塩3.2gに対して、ゲソ100kgがよいのではというご意見。
ゲソの重量を理解するには、20~25kg入る容器に4~5杯が目安になると説明しました。
工場での昼食
出張先での楽しみの一つでもある食事。昼食では、工場で加工している食材を使った料理をいただきました。
アオリイカは、生の物も冷凍した物も、味や食感にあまり違いはありません。
カニ身については、風味や食感があまり感じられませんでした。
また、フラワーエビ尾つき8/12 9カットは、トリミング指導前の物は、調理をすると曲がってしまっていたのですが、トリミング指導後の物は、そこそこまっすぐの状態が保たれ、見栄えが大幅に改善。
トリミング指導の成果が、多いに実感できた昼食でした。