ぐるなび総研(東京都千代田区)が今年の世相を反映し象徴する「今年の一皿」に、「鯖(さば)」が選ばれた。マーケティングリサーチのインテージ(同)の発表によると、2017年11月~18年10月のサバ缶の市場規模は前年同期比1・5倍の240億円。今後も強い需要が見込まれる中、国内の漁は最盛期に突入。来年のサバ缶の供給動向はいかに。
健康、美容面の機能がテレビ番組などで紹介され、人気が広がったサバ缶。メーカーからは「供給が追いつかない」との声が上がるほどの引き合いの強さだ。三菱食品(東京都大田区)の原正浩執行役員マーケティング本部長は2018年ヒット商品の一つにサバ缶を挙げた。原氏によると、人気のあまり「同じ青魚であるイワシの缶詰も売れている」という。
サバ缶ブームの好調さは大手水産の業績にも顕著に表れた。業界トップシェアのマルハニチロ(同江東区)の1~10月サバ缶出荷量は前年同期比59%増と大きく伸長。日本水産(同港区)の工場出荷量も4~9月で7割増と大幅に前年同期を上回った。
一方、原料動向は芳しくない。漁業情報サービスセンターによると、今年の生鮮サバ類(マサバ・ゴマサバ込み)の全国総水揚量は、漁が盛んになり始める9月に前年同月比16%減の1万6688トン。10月が23%減の1万トン9525トン、11月が40%減の4万3448トンだった。同センターによると、11月下旬からようやく三陸沖の巻網漁が本格化。「中旬まで沿岸に群れが形成されなかった」(同センター)という。
漁の最盛期を迎え、12月はようやくまとまった水揚げが目立つようになった。中旬時点、全国の総水揚量は前年並みのペースを確保する。ただ、浜値は高い。1~14日の産地平均価格はキロ115円。前年同月の平均単価に比べると3~4割高い水準だ。サバ缶ブームで原料不足のメーカーが積極的に買い付けているという。近年サバは加工用に海外から引き合いが強く、活発に輸出される傾向がある。国内外ともにサバが高く取引されているのも後押しして相場を維持しているようだ。
※本文中と写真説明の鯖は正式にはさかなへんに青
(みなと新聞12月15日号より記事抜粋)