【沖縄】沖縄県の漁船が21日、初めて船凍ケンサキイカを那覇市泊市場や糸満市の糸満市場に水揚げし、キロ1900円の高値を付けた。県は今回の水揚げと上場販売を受け、沖縄の新たな水産資源として東シナ海域のケンサキイカに着目。同イカを主対象にした冷凍イカ釣漁船の建造も始まっており、来年度以降、水揚量増大が期待されている。
今回の水揚げは8月3~20日、県内漁業者の比嘉良尚さん(沖縄県近海鮪漁業協同組合員)が糸満市西北300キロの東シナ海で漁獲。比嘉さんは「価格は高かったが今年は出漁時期が遅い上、操業は1隻のみで水揚げは計800キロほど。来年は漁期を拡大し、水揚量アップを図る」。通常はマグロ、ソデイカ、メカジキを中心に釣操業を行っている。前年までにイカ釣機を取り付け、凍結機の能力も増強した。
同県のケンサキイカ漁挑戦は2016年、県内漁業士から県へ「東シナ海でケンサキイカ操業を実施したい」との相談があったのが発端。しかし、漁具や燃油など経費増大や外国船と遭遇する危険も大きく、漁業士が単独で資源開発に挑戦するのは困難だった。このため県は16年度から2年間の事業を新設、県調査船「図南丸」が漁業士の安全を確保しつつ操業試験を行った。
県担当者は「開発調査センターの協力で、凍結能力を有した漁船を船団に加え長期航海が可能となった結果、利益率が向上。17年度の調査操業では試算した操業損益の分岐点を超えた」。事業終了後、ケンサキイカ漁業を目的とした冷凍イカ釣漁船の建造などで水揚げ増加が見込まれるなど、「沖縄の新たな漁業」になろうとしている。
(2018年8月27日付 みなと新聞より記事を引用)